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ホームページのバックアップの取り方:クリニックが最低限やっておくこと

公開 2026年10月22日 約7分で読めます

「バックアップは制作会社が取ってくれているはず」と思っていたのに、いざ改ざんや更新の失敗でホームページが壊れた時、実は控えがなかった。あるいは控えはあっても、どう戻せばよいか誰も分からなかった。そんなお話をよく伺います。バックアップは、取っていることよりも、いざという時に戻せることが大切です。この記事では、クリニックが最低限押さえておきたいバックアップの考え方と取り方を、チェックリスト付きでご紹介します。

ホームページのバックアップとは

バックアップとは、ホームページを元の状態に戻すための控えです。紙のカルテを電子カルテに移した時に、元の記録を一定期間保管しておくのと同じように、何かあった時に「この時点の状態に戻す」ための材料を、別の場所にしまっておくことを指します。

ホームページが壊れる原因はさまざまです。第三者による書き換え(改ざん)、WordPress(ホームページを更新するための仕組み)やPHP(ホームページを動かすためのプログラムの言語)を更新した時の不具合、スタッフの方がうっかり大事なページを消してしまう操作ミス、サーバー(ホームページのデータの置き場所)側の故障などです。どの場合でも、正常だった時点の控えがあれば、そこから戻すことができます。

バックアップは、保険に似ています。ふだんは使うことがなく、取っていることを忘れてしまいがちですが、いざという時に「ある」と「ない」とでは、復旧までの時間も手間も大きく変わります。ないことに気づくのは、たいてい困った時です。だからこそ、困っていない今のうちに確かめておく価値があります。

2026年10月にはPHPの深刻な弱点が見つかり、IPA(情報処理推進機構)の注意喚起(2026年10月21日)も出ました。PHPを新しいバージョンに切り替える前にも、バックアップを取っておくことが基本になります。くわしくは2026年10月のPHPの脆弱性についての記事をご覧ください。

何を保存しておけばよいか

WordPressで作られたホームページは、大きく分けてファイルとデータベースの2つでできています。ファイルは画像やデザイン、プログラムなど「建物の柱や壁」にあたるもの、データベースはお知らせの文章や設定など「棚にしまわれた書類」にあたるものです。片方だけでは元に戻せないので、両方をそろえて保存することが大切です。

保存するもの中身の例なぜ必要か
ファイル画像、デザイン、WordPress本体、プラグイン(追加機能)見た目や機能を元に戻すため
データベースお知らせ・ブログの本文、ページの内容、各種設定、管理者アカウント書いた文章や設定を元に戻すため
契約・設定の情報ドメイン(ホームページの住所)とサーバーの契約先、管理画面のログイン先、担当者の連絡先誰に何を頼めば戻せるかを把握するため

3つ目の「契約・設定の情報」は、データそのものではありませんが、いざという時にとても役立ちます。控えがあっても、どのサーバーに戻せばよいのか、管理画面にどう入ればよいのかが分からなければ、作業が進みません。紙でもよいので、一覧にして院内で保管しておくことをおすすめします。

問い合わせフォームの中身にも気を配りましょう

フォームから送られた内容をホームページ側に保存する設定にしている場合、データベースの控えに患者さんの個人情報が含まれることがあります。控えの保管場所や扱いにも注意が必要です。気をつけたい点は問い合わせ・予約フォームの個人情報の記事にまとめています。

バックアップの取り方は大きく3つ

クリニックのホームページでよく使われる取り方は、次の3つです。どれか一つに頼るのではなく、組み合わせると安心感が増します。

  1. レンタルサーバーの自動バックアップを使う多くのレンタルサーバーには、毎日自動で控えを取ってくれる機能があります。まずは契約しているサーバーにこの機能があるか、有効になっているか、何日前まで戻せるか、戻す時に費用がかかるかを確認します。手間がかからない反面、サーバー会社の中に控えがあるため、契約が切れると一緒に消えてしまう点に注意が必要です。
  2. WordPressのプラグインで控えを取るバックアップ用のプラグインを入れると、決めた間隔で自動的に控えを作り、外部の保存場所に送ることができます。設定さえ済めば手間は少ないですが、プラグイン自体も更新が必要で、設定が途中で止まっていても気づきにくい点に気をつけます。
  3. 制作会社・保守会社に任せる保守契約の中にバックアップが含まれている場合は、取る頻度、保存期間、保管場所、戻す時の費用と手順を確認しておきます。「取っています」という言葉だけでなく、どこに何日分あるのかまで聞いておくと安心です。

組み合わせ方の一例としては、サーバーの自動バックアップを日々の控えとして使いつつ、プラグインや保守会社の作業で、サーバーとは別の場所にも定期的に控えを送っておく形があります。こうしておけば、サーバー側で問題が起きても、別の場所の控えから戻すことができます。どの組み合わせがよいかは、ホームページの更新の多さや、院内で作業できる人がいるかどうかで変わります。

控えの持ち主も確かめておきましょう

制作会社の持ち物の保存場所にだけ控えがある場合、契約を見直したり、会社と連絡が取れなくなったりした時に、控えを受け取れないことがあります。控えをクリニック側でも受け取れるか、受け取る時にどんな形式になるかを、契約の時点で確認しておくと安心です。

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保管場所と頻度の考え方

バックアップでよくある落とし穴は、控えをホームページと同じ場所に置いていることです。サーバーが故障したり、改ざんで中身ごと書き換えられたりすると、控えも一緒に使えなくなることがあります。大事な書類の写しを、原本と同じ引き出しにしまわないのと同じ考え方です。

  • 控えは、サーバーとは別の場所(外部の保存サービスや、院内で管理するパソコン・記録装置など)にも置いておく
  • 1つだけでなく、数回分の控えを残しておく(直前の控えがすでに書き換えられていることもあるため)
  • 頻度は、更新の多さで決める。お知らせやブログを頻繁に更新するなら短い間隔、ほとんど更新しないなら更新したタイミングで取る
  • PHPやWordPress、プラグインを更新する前には、そのつど控えを取る
  • 控えの保存先にもパスワードをかけ、見られる人を絞る

頻度に「これが正解」という決まりはありません。考え方の目安は「どの時点まで戻れたら困らないか」です。週に何度もお知らせを書くクリニックなら、1週間前の控えしかないと、その間の記事を書き直す手間が出ます。逆に、ほとんど内容が変わらないホームページなら、更新したタイミングで取っておけば十分なこともあります。

「戻せるか」を確かめておく

控えを取っていても、実際に戻せるかどうかは試してみないと分かりません。ファイルが途中までしか保存されていなかった、データベースが含まれていなかった、戻す手順を誰も知らなかった、ということは珍しくありません。年に一度程度でも、控えから戻す練習をしておくと安心です。

  1. 控えの一覧を見せてもらういつの控えが、どこに、何回分あるかを確認します。サーバーの管理画面や、保守会社からの報告で確かめられます。
  2. 試しに戻す場所を用意する本番のホームページに直接戻すのではなく、試し用の場所(公開していない別の場所)で戻してみるのが安全です。
  3. 表示と中身を確かめるトップページ、診療案内、お知らせ、問い合わせフォームなど、主要なページが正しく表示されるかを見ます。
  4. 手順を記録する誰が、どの画面で、何をしたら戻せたかを書き残しておきます。担当者が代わっても同じことができるようにするためです。

ホームページが表示されなくなった時の確認の順番は、ホームページが表示されない時の原因と確認順でも詳しくご紹介しています。控えがあると分かっているだけで、トラブルの時に落ち着いて判断しやすくなります。

院内で確認したいチェックリスト

最後に、院長・事務長が確認しておきたい点をチェックリストにまとめました。答えられない項目があれば、制作会社や保守会社に聞いてみてください。

  • バックアップを誰が取っているか分かっている
  • ファイルとデータベースの両方が保存されている
  • 控えがサーバーとは別の場所にもある
  • 何回分(何日分)の控えが残っているか分かっている
  • PHPやWordPressを更新する前に控えを取る決まりになっている
  • 控えから戻す手順と、戻す時の費用が分かっている
  • 実際に戻せることを確かめたことがある
  • ドメインとサーバーの契約先、管理画面の入り方が一覧になっている
  • 控えの保存先にパスワードがかかっており、見られる人が絞られている

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よくあるご質問

レンタルサーバーの自動バックアップだけで足りますか?

日々の控えとしては役立ちますが、控えがサーバー会社の中にあるため、契約が切れた時やサーバー側で問題が起きた時に一緒に使えなくなることがあります。別の場所にも控えを置いておくと安心です。

バックアップはどのくらいの頻度で取ればいいですか?

決まった正解はなく、「どの時点まで戻れたら困らないか」で考えます。お知らせを頻繁に更新するなら短い間隔、あまり更新しないなら更新したタイミングで取るのが目安です。更新作業の前にはそのつど取ってください。

改ざんされた後の控えから戻しても大丈夫ですか?

書き換えられた後の控えから戻すと、不正な仕掛けも一緒に戻ってしまいます。数回分の控えを残しておき、正常だった時点を見極めて戻すことが大切です。判断が難しい場合は専門家に相談してください。

制作会社が取っているはずですが、確認したほうがいいですか?

はい。保守契約に含まれていても、頻度や保存期間、保管場所、戻す時の費用は会社によって違います。どこに何日分あるのか、戻す時はどうするのかを一度聞いておくと、いざという時に慌てずに済みます。

自分でバックアップを取るのは難しいですか?

サーバーの自動バックアップを有効にする、バックアップ用のプラグインを設定する、といった方法は手順どおりに進めれば可能です。ただ、戻す作業は慣れていないと難しいことがあるため、戻し方まで含めて誰が担当するかを決めておくことをおすすめします。

この記事は、クリニックのホームページの保守を担当する株式会社Canvi「HPドクター」編集部がまとめました。運営会社は、医療法人・医療系企業の営業・採用・教育を支援する「MedLead」も提供しています。